俄歩
「山に登ること」 は、与えられた条件の中で新しい経験を積むことに 他ならない。 だから、  自然と向き合える体力  自然を味わえる感性  自然に応えられる知力 を大切にしたい。
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
 学生時代に歩いた山、
歩きそびれた山々、
かって妻と歩いた山をひとり
静かにたのしんでいます。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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富良野岳
’09.6.29(月) 移動日
 十勝岳温泉へ向けての出発時、親しくなった高原山荘の支配人から 「今度は奥さまもご一緒に
秋の紅葉を楽しみにお出かけください・・・」と 高原山荘のオリジナルバッジを妻へのおみやげにいた
だいた。
 柱状節理、銀河・流星の瀧で知られる層雲峡温泉を経て 旭川で留守家族へ北の味覚を発送。
ここ旭川は内陸であるが、交通の要衝で 昔からオホーツク海や日本海からの海産物が豊富に集積
される。
 昨冬、ブルーリバーが美しい雪の森を散策した美瑛、白金温泉を経由して十勝岳温泉へ。

                                       (写真はクリックして拡大してください)
P1020569.jpg 2008_1218旭山&美瑛0058
緑のオプタテシケ山(左)  昨冬の真っ白なオプタテシケ

 途中の望岳台から噴煙の上がる荒涼とした十勝岳や濃緑の美瑛富士、美瑛岳を遠望する。
この頃からカメラにUFOが写り始めた。どうやらレンズの汚れではなく中に水滴でも入ったかも・・・。

P1020572_20110703160721.jpg P1020571_20110703160809.jpg
噴煙上がる十勝岳(遠望) 同 美瑛富士(左)と美瑛岳

標高1280mの十勝岳温泉
P1020582_20110703161048.jpg P1020592.jpg P1020593_20110703161200.jpg P1020594.jpg
凌雲閣            内湯             露天風呂から       同 富良野岳(中央奥)       
                                  上ホロカメットク山


 安政火口を泉源とするこの温泉の湯は、酸性 含鉄の硫酸塩泉で源泉53度 掛け流し。
いかにも鉄分の多いエゾシカ色の茶色の湯である。
露天風呂からの眺望は最高。 左から三段山、上ホロカメットク山、上富良野岳、三峰山、富良野岳
と かぶりつきから円形劇場の天井桟敷を見上げるようだ。


「山行クロニクル No.39」  富良野岳  (1912m)      単独
’09.6.30(火) 十勝岳温泉登山口~三段山分岐~安政火口~上ホロ分岐~富良野岳分岐
            ~富良野岳~温泉(泊)

 曇天。早朝から10m前後の強風が吹き荒れ、午後はさらに雨になるとの予報。
宿の女将さんによれば「ここでこの風だと稜線は20mを越えてますよ・・・」とのこと。
当初計画の富良野岳から三峰山の稜線を辿り、上富良野岳を越え 上ホロカメットクの避難小屋に泊り
十勝岳まで縦走する予定を急遽変更、無理なく富良野岳だけのピストンに切り替える。

 登山口、6時、入山届に記入。さすがにこの天候ではまだ登る人もなく、先行者の記入なし。
一番手となるとちょっと羆が怖いが この一帯での活動はあまり見られないというので、熊鈴はネットを
被せ、気になる場所は笛を吹いて通過することとする。

 三段山への分岐を経て安政火口へ。
すさまじい爆裂跡、錆びてまっ茶色の監視カメラ塔がポツンとひとつ。 強風と雲に押されて
噴煙と臭気が低く地を這う。

P1020600.jpg P1020603.jpg P1020653.jpg
安政火口          ウコンウツギ        ヒメイソツツジ(?)

 三峰山の中腹をトラバースする登山道に入り、往く手の富良野岳を眺めながら徐々に高度を上げる。
小さな沢の雪渓をいくつも過ぎり 上ホロカメットク山への道を分け、ナキウサギの生息地を過ぎる頃から
花々が目につくようになった。

P1020606.jpg P1020604.jpg
三峰山の中腹を巻く   往く手の富良野岳
          登山道
P1020608.jpg P1020610.jpg P1020612.jpg
サンカヨウ         ショウジョウバカマ     エンレイソウ

 羆の好みそうな尾根渡りの付近 見通しの悪いところでは2度ばかり高音の笛を吹き鳴らす。
3時間ほどで稜線の富良野分岐へ飛び出す。いきなり猛烈な寒風にたたかれる。
風速20mに近い、まっすぐに立っていられない。 一端、尾根陰まで退き、レインギアを付け、ついでに
30分ほどコーヒータイムをとる。

 その間に 植物監視人の腕章をつけた同年輩二人連れが登ってきて、先行してゆく。
休憩後、分岐で 歩くのを取りやめた北方の十勝岳とこれから向かう南の富良野岳への登山道を眺め、
さながら花畑を歩くような富良野岳への稜線を辿る。
風が強く 一瞬たりとも止まぬため、花の名山に数えられるこの岳の美しい花々をその名に相応しく
撮ることは私の腕ではかなり難しい。

P1020614.jpg P1020619.jpg
十勝岳への稜線      富良野岳に向かう稜線

P1020621.jpg P1020623.jpg P1020639.jpg
エゾコザクラ        エゾノツガザクラ

P1020643.jpg P1020645.jpg P1020640.jpg
イワウメ           チングルマ         ハクサンイチゲの群落

 頂上直下、先行した二人から「午後は間違いなく雨、風も強まりガスが捲くだろうから 早めに登頂
した方がいいでしょう・・・」と アドバイスがかかる。
1912mの富良野岳頂上着、10時20分。 強風吹き荒れる40㎡ほどの狭い山頂に三角点と標識。

P1020625.jpg P1020629.jpg P1020633.jpg P1020638.jpg
富良野岳山頂       十勝岳への稜線     既にガスに捲かれ     湿原植物の宝庫
                                  はじめた十勝岳          原始ヶ原

 下山はガスと雨との競争、強風の稜線を離れホッとして 往路を再び降る。
登ってくる何組かの登山者とすれ違うたび、稜線の強風の注意を呼び掛けた。
ガスの中、クリッとしたまさにドングリまなこのエゾシマリスに遭遇する。本当に小さい。本州の山で
見かけるオコジョの3分の1、ヤマネぐらいだろうか。

 本降りにならない午後1時前に登山口まで降りる。下山届に記入し部屋に戻った。
十勝岳への縦走は適わなかったが、いかにも花の名山に相応しく家族連れ登山に適した富良野岳
だった。
しかし、20m近い強風の中 揺れる花々を撮るのは至難で、撮り損ねた可憐な花も多かったのは残念。

 翌朝、お別れに来てくれたキタキツネに送られて温泉を立った。
P1020656.jpg P1020658.jpg


追記
 その後三晩、札幌に滞在。
昨冬 「雪の美瑛の森」を共に歩いたA氏、今回 「アポイ岳」を一緒に登頂したT氏夫妻、
友人それぞれのお宅に招かれ、奥さまの手料理の歓待を受け 楽しい夜を過ごさせていただいた。
深謝。

 近郊の藻岩山、石旗山の他 「百合ヶ原」「北海道開拓の村」「滝野すずらん丘陵」などを訪れ、
ポプラの綿毛が風に舞い、アカシアの白い花がこぼれ、ヒマラヤの蒼いケシの咲く札幌の街を後に、
7.4(土)、苫小牧から再び「さんふらわあ・ふらの」の客となり、北の大地2週間の山旅を終えた。
まさしく恵まれた日々だった。

P1020704.jpg
T氏宅のエーデルワイス (スイスから種を持ち帰り開花させた)

P1020713.jpg P1020715.jpg
「滝野すずらん丘陵」のメコノプシス (いわゆるヒマラヤの蒼いケシの花)

P1020690.jpg P1020670.jpg P1020709.jpg
鉄道馬車 と ハマナス2種
                                        (写真はクリックして拡大してください)
























 

テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

白雲岳
「山行クロニクル No.38」 大雪・白雲岳 (2230m)    単独
’09.6.27(土) 大雪高原温泉登山口~第一花畑~第二花畑~緑岳~板垣新道~
            白雲避難小屋(泊)
    6.28(日) 避難小屋~白雲分岐~白雲岳~小泉岳~緑岳~高原温泉(泊)
 
                                        (写真はクリックして拡大してください)   
P1020526.jpg P1020527.jpg P1020519.jpg P1020529.jpg
白雲岳頂上        頂上からの展望(詳細本文)

 大雪の連山をじっくり味わうため避難小屋泊りとし、早朝 6時、入山届に記入 森を分け入る。
三食自炊の避難小屋泊りとて ザックは20キロと私にとってはかなりの負担である。
羆の情報は今朝は特になく、腰に付けた熊鈴もネットを被せて音鳴りを防ぐ。
曇天、1500mくらいから上はガスに覆われている。

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登山口            昨日歩いた沼めぐりの森と雪渓

 まずは緑岳を目指すが 花畑に出るまで結構な急登。
この急登と花畑を過ぎた頂上直下のさらなる急登をきらって、白雲岳へは高原温泉の北、銀泉台
から赤岳を越えて登り、下山に緑岳を通って高原温泉へ降る というのが普通の縦走コースと宿で
聞いた。確かにその方が下山後温泉に入浴でき合理的だが・・・。

 第一、第二花畑とも まだ雪田・雪渓の下。
紅ガラの目印が適当な間隔で撒かれているが、ガスが濃くなると方向を見失いがちで慎重に
トラバースする。 長い雪渓を抜け ハイマツ帯に入る頃から少し晴れ間が覗きはじめた。

P1020443_20110703161538.jpg P1020444.jpg P1020450.jpg
雪田             稜線から緑岳       コケモモ

 森林限界を越え いよいよ緑岳頂上直下、標高差300m強の急登にかかる。
ナキウサギの声に耳を傾け花々を愛で、息継ぎを繰り返す。

P1020553.jpg 緑岳への急登

P1020455.jpg P1020463.jpg P1020555_20110703154746.jpg
ナキウサギの声が・・・  イワウメ           キンロバイ

 背後の石狩連山と昨日楽しんだ眼下の沼めぐりコースの沼と森と雪渓を眺めて小休止。

P1020458.jpg P1020459.jpg
石狩連山          沼めぐりコース

 喘ぐこと1時間20分、10時、緑岳(2019m)頂上。
先着者の壮年男性がひとり、大型の写真機をセットし天候の回復を待っていた。
ゆっくり休み ガスの切れ目に周囲の嶺々を展望する。指呼の間に旭岳、白雲岳が・・・。
小泉岳への花の稜線は楽しそう。

P1020467_20110703154909.jpg P1020473.jpg P1020468.jpg P1020470.jpg
緑岳頂上          旭岳はまだ雲の中    白雲岳            小泉岳への稜線 

 ケルンの陰で風を避け 昼食とコーヒー。1時間ほど大雪連峰の東からの展望を楽しんだ後、
小泉岳への稜線を辿り、避難小屋への分岐から板垣新道の雪渓を降った。
P1020484.jpg 板垣新道  白雲岳からの雪渓の中に浮かぶ避難小屋

 白雲避難小屋、雪渓の中の小高い岩場に立地する二階建ての四角い小屋 つめれば60人は
泊れるようだ。
夏場の2ヵ月だけ常駐する若い管理人氏に挨拶、重たいザックを下ろした。
テン場は3張、昨日から小屋に停滞している方が2人、今日は土曜日とあって 小屋泊りもテン場も
これから増えそう。

P1020493_20110703155123.jpg P1020492.jpg P1020499_20110703155253.jpg
白雲避難小屋       テン場            避難小屋から緑岳

 その夜の小屋泊りは 男女約15人、若人 壮年 熟年同輩 カナダ人など多彩。
学生中心のテン場も7張りと増えた。
皆、管理人氏が勧める温かい二階に寝るようだが、静かさを好む私は敢えて一階。
しかし、一階は雪渓の寒気と嶺をわたる冷たい風ですこぶる寒い。
昼間、余分に持参したレトルトカレーのパックとつまみを差し入れした御礼か 管理人氏が消灯時、
毛布を2枚 こっそり貸してくれた。(嬉しかった)
それでも夜半からは1時間ごとに寒さで身体を動かさねばならなかった。


 6.28(日) 晴れ
 眼下の高根ヶ原から忠別岳を越え 遥か彼方に朝陽に輝くトムラウシの王冠を飽かず眺め、感慨に
耽る。 やはりどうしてもいつか登りたい嶺である。

P1020504.jpg 早朝の高根ヶ原とトムラウシ

 7時、テン場の雪だまりから白雲分岐への雪渓をキックステップで登り、目的の白雲岳を目指す。

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避難小屋とトムラウシ   キバナシャクナゲ     ミネズオウ

 イワウメの咲き乱れる白雲平の分岐にザックを残し、空身で頂上直下は雪渓を避け 岩場を手探り
で攀じ登り、降りは急斜面の雪渓を滑り降りた。
頂上からの眺望は まさにこれが大雪という姿。至福の時を過ごした。

P1020526.jpg P1020527.jpg P1020519.jpg P1020529.jpg
白雲岳頂上         トムラウシ方面      旭岳方面          黒岳方面

 小泉分岐で白雲岳ピーク(2230m)を振り返り 名残を惜しむ。
山開き直前のこの季節、今季は残雪が多いと聞かされたが 天候にも恵まれ、山歩きの楽しさを
十分満喫させてもらった。

P1020531.jpg P1020530_20110703155441.jpg P1020532.jpg
白雲岳を振り返る     黒岳(左)と赤岳(右)   烏帽子岩

 小泉平を涼風に吹かれて散策、小泉岳(2158m)を経て花の稜線を緑岳へ。
名残のエゾコザクラの群落、これからのウルップソウなどを愛で、坦々と しかし溢れ出る充足感に
満たされながら稜線を辿る。

P1020537_20110703155619.jpg P1020540.jpg P1020546_20110703160021.jpg
小泉岳頂上         エゾコザクラ       ウルップソウ

 昨日はガスに捲かれていた緑岳、今日は陽光を浴びて周囲が拓けていた。

P1020552.jpg やはり気になる遥かなトムラウシ山

 20キロのザックが堪え 登りは苦労した緑岳を ナキウサギの声に送られながらルンルンと降り、
第二花畑の雪渓も明るかった。
午後1時には高原温泉に帰着。 親しくなった宿のスタッフに笑顔で迎えられた。

P1020559.jpg 第二花畑の雪渓
                                       (写真はクリックして拡大してください)


* 北海道の山と花、エゾリスについては 
 私がリンクさせていただいている 「北海道あれこれ さっぽろ発」(管理人:H氏ご夫妻)を
 ご覧ください。

  北海道へ遠征の折は いつも参考にさせていただいています。
 また、私の孫娘も エゾリスの詩と映像詩の大ファンです。









 































テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

大雪高原沼めぐり
’09.6.25(木) 移動日
 夏至を過ぎた襟裳岬の日の出は早い、朝3時20分にはもう太陽が昇る。
襟裳岬~帯広~士幌~糠平を経て 三国峠でニペソツ山やウペペサンケ山を眺め、旧国鉄士幌線
の廃線跡や石の橋梁を歩き、大雪湖からヤンベタップ川に沿うオフロードの道を大雪高原温泉へ。
                                        (写真はクリックして拡大してください)

P1020394.jpg P1020403.jpg P1020396.jpg P1020398.jpg
ウペペサンケ(左)と    大雪高原山荘とその湯            
       ニペソツ(右)

 昭和34年に発見され開発された標高1260mの高原にある大雪山域の東の登山口、
日本秘湯を守る会の宿でもある大雪高原山荘。自然湧出の源泉は71度、水素成分を含んだ単純
酸性泉 やや白濁、湯量豊富な掛け流し。
この湯と部屋からの眺望を楽しみ、ヒグマ情報センターでここ一両日の羆の動きを聴くとともに 
付近を散策して明日からの登山に備える。

P1020407.jpg P1020401.jpg P1020400.jpg P1020408.jpg
部屋から見る       熱湯を吹き上げる泥沼  登山口とキタキツネ    タイセツヒナオトギリ
    残雪の高根ヶ原

 この高原まで来ると大きな大雪連峰の懐に入ったようで エゾマツ、トドマツやダケカンバの緑と
残雪の白さに囲まれた緑の園に憩うている気が満ちてくる。
大雪連峰、北側の層雲峡温泉、西側の勇駒別温泉・天人峡温泉には泊ったことがあったが、
東の大雪高原温泉は初めて。
残すは南側のトムラウシ温泉と かんの温泉のみ。いつかトムラウシ山に登るときの楽しみとしたい。


「山行クロニクル No.37」  大雪高原 沼めぐり           単独
’09.6.26(金) 山荘~沼めぐり~山荘(泊)

 早朝 4時、ヒグマ情報センターの監視人が望遠鏡で 高根ヶ原から緑岳への残雪の稜線を
入念にチェックし始める。(毎日 朝、昼、夕の定時監視は欠かさないとのこと)
今朝は 比較的大型の羆一頭の移動を発見、入山口の情報センターで この付近は十分注意して
ください と沼めぐり地図上のポイントを示す。
入山届に記入し、さっそくT氏から貰った熊追いの鐘を腰に取り付ける。

 標高1100m~1500mに点在する大小11の沼をアップダウンと徒渉を繰り返しながら楽しむ
約6.1Kmほどの登山コースである。
羆対策で 入山は7時~13時、15時までに下山することと決められている。このルートは
彩鮮やかな秋の紅葉の季節が最も賑わうという。

 8時出発、雲がすこし流れているが晴れ。
沢を渡り ミズバショウやミツバオーレンを足下に、残雪の登山道を 土俵沼、バショウ沼、滝見沼
などを経て 美しい緑沼で一息。

P1020419.jpg                 P1020422.jpg
土俵沼から                          深淵な緑沼
 明日登攀予定の 緑岳とその奥に白雲岳           

 さらに えぞ沼、式部沼を越え 白雲岳から忠別岳へのルートの高根ヶ原から流れ落ちるような
大学沼の大雪渓に出る。 
標高1500mの最高点、雪に埋まった大学沼で巡視中のヒグマ情報センター監視人と出遭う。
今朝見つかった羆のその後の動きを聞くと 「今のところこちらへの移動は見られません。それに
今朝の奴は大型なので、小熊・若熊に比べて少し安心です・・・」とのたまう。

P1020424.jpg P1020426.jpg P1020427_20110703154512.jpg
えぞ沼            式部沼           高根ヶ原からの雪渓に埋まった大学沼

 空を映して綺麗な高原沼から眺める緑岳(松浦岳)はまさに緑一色。
当地では松浦岳という表示はなく すべて緑岳としている。

P1020428.jpg 高原沼と緑岳

 秋に涸れるという空沼で 高根ヶ原へ登る三笠新道を分け、降り始める。
この三笠新道、羆の出没のため登高禁止になっていることが多い。
沢でエゾノリュウキンカの群落に出遭い しばし憩い 休止。
 ヤンベタップ川の急流、橋が無く 飛び石が点々とある筈だが、今日は水量が多く
飛び石はすべて20cmほど奔流の水面下。濡れるのを覚悟して徒渉する。

P1020433.jpg P1020434.jpg
エゾノリュウキンカの群落     エゾエンゴサク

 少し雪が腐ってきて踏み抜きに注意しながら雪渓を降る。
12時、休憩も含めて4時間で一周。下山届に記入し、風呂を浴びに部屋へ戻った。
全コースの3分の2は雪渓歩き。色と形が異なる変化のある沼々、そして針葉樹と沢、それなりに
趣のある静かな登山道だった。


追記
山荘 二日目の夜、まだ山開き(6.28日)前とて、宿泊客は少なく今日も私を含めて3人のみ。
別席の二人の紳士は渓流釣りを楽しみ、釣果のオショロコマ(陸封されたサケ科の渓流魚)を
厨房に頼んで天麩羅にして貰ったようで、私にもお裾分けをいただいた。
釣りたて揚げたてのオショロコマの味は旅行者にとっては良い思い出となった。 感謝。
明日からはいよいよ大雪の連山を楽しむ予定。

                                     (写真はクリックして拡大してください)









 



テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

アポイ岳
 本州の梅雨を避けて 北の大地を歩こうと、6.22(月)から7.5(日)まで2週間ほど北海道を
訪れた。昨冬の富良野「美瑛の森」散策以来である。

日高・大雪・十勝・札幌と移動距離が長いため、茨城県の大洗港から苫小牧港まで 商船三井フェリー
の「さんふらわあ・ふらの」へ愛車を積み込んだ。           (写真はクリックして拡大してください)

P1020298.jpg P1020302.jpg P1020309.jpg
商船三井フェリー「さんふらわあ・ふらの」

 19時間の船旅の後、苫小牧からJR日高本線と太平洋岸に挟まれた海岸通りを ししゃもの鵡川、
駿馬の日高、つぶ貝の浦河を抜けアポイ岳の麓 様似のアポイ山荘まで走る。
山荘では、北の友人のひとり T氏夫妻が札幌から駆け付け、翌日の登山を同行してくれることになって
いた。
そして羆に襲われないよう素敵な熊追いの鐘をいただいた。

「山行クロニクル No.36」 日高アポイ岳 (811m)   友人夫妻と3人
’09.6.24(水) 山荘(前泊)~5合目小屋~馬の背花畑~山頂~山荘~えりも岬(泊)

P1020372.jpg P1020367.jpg
熊追いの鐘とアポイ岳  カンラン岩とオダマキ

 友人T氏、北大・地質学専攻、若い頃は技官として大勢の人足を連れ 広大な北海道の山林原野
や沢を歩いた猛者であるが、夫人は東京の高尾山、札幌では藻岩山しか登ったことがないという。
今回は小生の訪道を歓迎、頑張って登頂すると張り切っていた。

本州からも訪なう岳人の多いこのアポイは「アペ・オ・イ」(火の沢山あるところで、昔、鹿が獲れるよう
神に祈るために火を焚いたことに因る」という。

 登山口 朝8時。 トドマツの他、ハクウンボク ヤマモミジ アオダモ ミズナラ ゴヨウマツなど
樹種の多い混交林を小さな沢に沿って登り始める。
T氏が切り抜いてくれた 5.20付けの北海道新聞の特集記事には
「亜種を含め八十種を越える植物が育ち、810mの低山ながら 国の天然記念物にも指定されている
高山植物群落を持つ日高管内様似町のアポイ岳。普通の植物は生育障害を起こしてしまう”超塩基性”
のカンラン岩の貧弱な土壌と太平洋からの夏の濃霧がこの環境をつくってきた」 と記されている。

 5合目小屋で小休止。
馬の背と呼ばれる稜線まではちょっとした急登。
馬の背からは見晴らしの良いハイマツの稜線を歩き、エゾコウゾリナ、アポイアズマギク、アポイクワガタ
ハクサンチドリ、キンロバイなどが楽しめた。
アポイ岳を代表する ヒダカソウやサマニユキワリは既に花期を終わっていた。残念。

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馬の背への道       稜線とアポイ岳      エゾコウゾリナ       アポイクワガタ 

 頂上直下、200mの標高差の急登にかかる。ハイマツ帯を過ぎて再びダケカンバの林に入る逆転
樹相、これもアポイ岳の特徴のひとつだそうだ。
頂上は三角点と標識、祠が鎮座する100㎡ぐらいの切明け地、ヤマザクラとダケカンバに囲まれ
静かな雰囲気が漂っていた。

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山頂             ヤマザクラ

 山頂で植物監視人の腕章をつけた同年輩の方に 幌満の花畑の状況を聞く。
「残念ながら今は特徴ある花は少ない。今年もヒダカソウは僅か2輪咲いただけ、もう4~5年こんな
状況ですよ・・・」と淋しげだった。
昼食後 下山、馬の背でナキウサギの声を聴き 同じ道を辿る。

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吉田山を経て        眼下の太平洋      ハイマツの実
  ピンネシリへの稜線

 午後3時30分 山荘帰着。 札幌での再会を約し T氏夫妻と別れ、今夜の宿えりも岬へと走った。
それにしても海岸から直接立ち上がる鬱蒼とした自然林、マグネシウムを多量に含むカンラン岩の
露出、特異な植生、しかもたかだか標高700m位で逆転する樹相・・・、低山ながら 一歩歩くごとに
立ち止りたくなるような本州ではちょっと見られない山であった。
また久しぶりの同行者を得て 笑顔と緊張が交錯するひとときでもあった。

アポイ岳で出遭ったその他の花
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追記
夕方の襟裳岬は初夏にもかかわらず とりわけ淋しかった。
波打ち際でコンブを拾う人とカモメだけ。 本当に何もない風の岬だった。

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