俄歩
「山に登ること」 は、与えられた条件の中で新しい経験を積むことに 他ならない。 だから、  自然と向き合える体力  自然を味わえる感性  自然に応えられる知力 を大切にしたい。
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
 学生時代に歩いた山、
歩きそびれた山々、
かって妻と歩いた山をひとり
静かにたのしんでいます。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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白山
 久恋の山である。

P1010368_20100729151307.jpg P1010411.jpg P1010418.jpg  (写真はクリックして拡大して下さい)

 加賀の白山というと 私の若い頃はアプローチに東京から一昼夜を要した。
帰路も同様であり、計画するには日数と費用がかさみ 暇はできても学生の身では
費用的に北アルプスが限界であった。
秋の穂高小屋から遠く白山に沈む夕陽を眺め この峰への想いを巡らせていたものである。

 昭和50年代になって各地でスーパー林道造りが始まり、そのひとつとして
岐阜県の白川郷から白山スーパー林道が開通した折、中宮温泉まで走り 登山口を覗き
さらにこの峰への想いを強くしたものだった。
 この山は かって妻を伴い歩きたかった峰でもあり、今回も声をかけてみたが
振られてしまった。


「山行クロニクル No.58」  白山      単独
’10.7.25(日)浦和=関越・上信越・北陸道金沢西IC=市ノ瀬・白山温泉(泊)
    7.26(月)市ノ瀬=別当出合~観光新道~黒ボコ岩~室堂平・センター(泊)
    7.27(火)室堂平~御前峰~翠ヶ池~千蛇ヶ池~室堂平~展望歩道~南竜ヶ馬場・
           南竜山荘(泊)
    7.28(水)南竜ヶ馬場~南竜道~砂防新道~別当出合=市ノ瀬=浦和


観光新道

P1010334.jpg 朝の別当出合

 快晴の朝 7時、別当出合から観光新道へ。
帰路は別山からチブリ尾根を予定していたので、私には少々きついと思ったが、
展望と花々の多い観光新道をとった。
禅定道との出合、別当坂分岐までウグイスの声を聴きながら五輪坂をつめる。

P1010335_20100729154511.jpg P1010337.jpg P1010338.jpg
五輪坂           下山予定のチブリ尾根  別当坂分岐

P1010341_20100729155023.jpg P1010342.jpg P1010346.jpg P1010355_20100729155313.jpg
シモツケソウ        クガイソウ          マツムシソウ       ダイモンジソウ

 岩のトンネルを抜け南の別山を眺め 登ってきた尾根を振り返る。
大休止した殿ヶ池避難小屋を過ぎると下山者との交換が繁くなるが、花畑が一層彩りを添える。
花々に慰められながら炎天下、古い地層の玉砂利の真砂坂を経て 黒ボコ岩に辿りついた時には
かなり疲労していた。

P1010349.jpg P1010345_20100729160433.jpg P1010353.jpg P1010367.jpg
別山             尾根を振り返る   殿ヶ池避難小屋     黒ボコ岩

P1010356.jpg P1010358.jpg
ハクサンフウロ       ハクサンシャジン

P1010357.jpg P1010430.jpg P1010366.jpg P1010361.jpg
クルマユリ         イブキトラノオ       ミヤマキンバイ       黄色の競艶

 室堂平のビジターセンター、午後1時着。
御前峰の頂は既にガスに覆われていたので、明日の楽しみとし、
宿泊の受付をしていると 前夜 市ノ瀬の湯宿で夕食をご一緒した神戸の山岳会所属の
同年輩の方に声をかけられビールで歓談する。
彼は山岳会の下見で砂防新道を登ってきたとのこと。

P1010371_20100729162532.jpg 室堂 祈祷殿からのぞむ山頂



御前峰・お池巡りと展望歩道

 早朝 「お日の出」遥拝のための比(ひめ)神社祈祷殿の太鼓は鳴らず、
山頂はまだガスに捲かれていた。
 今日一日は 御前峰・大汝峰から複雑な火山地形を眺め、火口湖巡りと花畑を満喫するつもりで
ゆっくり7時過ぎ 御前峰へのイワギキョウやイワツメクサに縁取られた石畳を登り始めた。
イワヒバリの囀りが響く。

P1010373.jpg P1010375.jpg
イワギキョウ        イワオトギリ

 比神社奥宮の置かれた 標高2702mの山頂は全方位ガスの中。
30分ほど待機してガスの切れ目を待つが、指呼の間の剣ヶ峰、大汝峰もまったく姿を見せず。
あんなにも恋焦がれていた峰なのに・・・、無情のひととき。

P1010385_20100729164644.jpg 御前峰 山頂

 お池巡りのコースを辿る。
紺屋ヶ池も油ヶ池も見えず 足元の花々のみをたのしむ。
翠ヶ池のほとりに立つも見えるのは手前の雪田のみ。ここでも30分ほど待機、一服。
一瞬のガスの切れ目にやっと池の全容がつかめた。

P1010400.jpg ガスの翠ヶ池

P1010395.jpg P1010390.jpg
チングルマ         アオノツガザクラ

 いささか残念な想いを胸に 小さく残った雪渓を渡り花畑を抜け、室堂平から
展望歩道へ向かう。

P1010404.jpg 小雪渓

P1010411_20100729170219.jpg P1010413.jpg P1010418_20100729170457.jpg P1010407_20100729170556.jpg
クロユリ                           ハクサンコザクラ

 岐阜県大白川への平瀬道を分け、ハイマツ帯をアルプス展望台へ。
時折晴れ間が覗きはじめ、三方崩山の荒々しい岩肌や白水湖と大倉尾根を眺める。
大カンクラ雪渓は見えないが ダケカンバの大木が繁るこの平瀬道は興をそそる尾根だ。
遠く北アルプスの峰々は霞んで判然としない。

P1010425.jpg P1010427.jpg P1010434.jpg
平瀬道との分岐      三方崩山          白水湖と大倉尾根

 ガスの切れ目に今日の宿 南竜ヶ馬場が見え始める。

P1010435.jpg P1010448.jpg P1010456.jpg
南竜ヶ馬場を覗く     南竜山荘          油坂ノ頭への登りと奥に別山

P1010443.jpg P1010447.jpg P1010423.jpg P1010451.jpg
イワイチョウ        ベニバナイチゴ       コバイケイソウ       ハクサンコザクラ

 展望こそ少なかったものの久しく登りたかった山の中にいるという実感を
まがりなりにも味わえた一日であった。



南竜道と砂防新道

 翌朝 天気は下り坂とのことで眺望が得られないチブリ尾根を諦め、
南竜道から砂防新道を降る。
まだ晴れ間の別山に別れを告げ、登路の観光新道を仰ぎ 坦々と下山。
砂防新道はあまり趣のある登山道ではなかった。

P1010459.jpg P1010468.jpg P1010470.jpg P1010473.jpg
御舎利山と別山      観光新道を仰ぐ      不動ノ滝       砂防新道の吊橋

P1010464.jpg P1010467.jpg
ヤマハハコ        サンカヨウの実

 別当出合でバスを待つ間、南竜山荘で隣り合わせた大阪からの単独行者、北海道から遠征して
来られたやはり単独行の方と この峰の印象を肴にビールを楽しみ、市ノ瀬で金沢駅へ向かう
彼等と別れ 帰路に着いた。


P1010332.jpg 白山中心部

P1010331.jpg 白山温泉 秘湯を守る会会員永井旅館の湯

(写真はクリックして拡大してください)



 




















    




















テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

早池峰山
P1010267.jpg ハヤチネウスユキソウ           (写真はクリックして拡大して下さい)

 東北の花の山、「秋田駒ケ岳・早池峰山・焼石岳」を歩こうと、日曜日の休日割引を利用
東北道盛岡ICから秋田県側に入り、乳頭温泉郷手前の田沢高原温泉に前泊、
まずは翌日の秋田駒ケ岳の早朝登山に備える。

 参院選の開票速報に続き、ワールドカップサッカーの決勝戦、しかも「0対0」で延長戦
となると もう寝てるわけにはいかなくなってしまう。
戸外は夜来の雨に大風、ついに明け方は強風・大雨・洪水警報下の土砂降り。
予報でも警報解除の見込みは一日中たたず、登山口への連絡バスターミナルで午前10時まで
待機する。

 梅雨時のしのつく雨は覚悟していたがガスと横殴りの豪雨、視界の全くない状態では
駒ケ岳は断念せざるを得なかった。

前日の田沢高原から覗く
P1010223.jpg P1010234_20100715100512.jpg
秋田駒ケ岳         田沢湖

 昨年同時期の鳥海山でも、低気圧に伴う前線の通過で同じ目に遭った。
どうも秋田県下の峰とは相性が良くないのかも・・・。
仕方なく雨の中、翌日予定していた早池峰登山口へ向かう。
岩手県・太平洋側は警報は出ておらず 登山口 岳の集落に宿を決める。

早池峰山登山口 岳集落・点描
P1010236.jpg P1010246_20100715101358.jpg
マタタビの白い葉     サワグルミ

P1010240_20100715101554.jpg P1010243_20100715101650.jpg P1010245.jpg
早池峰湖          早池峰神社         神楽舞台

 重要無形文化財のこの早池峰神楽が、昨年、ユネスコの文化遺産として登録されたことを
土地の人は皆、素直に喜んでいた。


「山行クロニクル No.57」 早池峰山     単独
’10.7.11(日)浦和=東北道盛岡IC=田沢高原温泉(泊)
    7.12(月)(駒ケ岳中止)田沢高原=大迫町 岳(泊)
    7.13(火)岳=河原ノ坊=小田越登山口~早池峰山~小田越=夏油温泉(泊)
    7.14(水)(焼石岳中止)夏油温泉=東北道水沢IC=浦和


 早朝 5時 小田越からの登山口着、曇天。
平日は河原ノ坊駐車場まで車で入れるが、その先小田越山荘に近い薬師岳登山口に
4~5台止められるスペースがあると宿の女将さんに聞き、そこまで車を乗り入れる。
既に 東京・練馬NOが一台駐車。

 小田越登山口で届けに記入、ツガやオオシラビソ(アオモリトドマツ)の樹林に分け入る。
P1010247.jpg P1010249_20100715103540.jpg
登山口            五合目付近の岩壁をのぞむ

 樹林下でさっそくモミジカラマツの楚々とした風情に和む。
P1010250.jpg P1010251.jpg モミジカラマツ

 30分ほどで樹林帯を抜け、御門口と呼ばれる一合目で視界が拓け、蛇紋岩の
岩稜地帯に入る。
蛇紋岩の山は尾瀬・至仏山もそうであるが 岩ゴツの峰が多い。
三合目から五合目までは キンロバイ、ミヤマオダマキ、アズマギク、ナンブイヌナズナなど
の他、お目当てのハヤチネウスユキソウが可憐な姿を見せる。

P1010253.jpg 三合目付近

P1010254.jpg P1010261.jpg P1010268.jpg
キンロバイ         ミヤマオダマキ       アズマギク

P1010258.jpg P1010267_20100715105303.jpg P1010270.jpg P1010275.jpg
ハヤチネウスユキソウ

P1010255.jpg ミネウスユキソウも見られた

 ガスが切れ 時折晴れ間が覗くようになった。
五合目の金庫蔵と名付けられた岩屋を過ぎるとハイマツ帯となり、
八合目の岩場と左奥に頂上がのぞめるようになった。

P1010277.jpg P1010280.jpg P1010311.jpg P1010308.jpg
五合目        八合目(右上)と頂上(左上)   巨岩        チシマフウロ

 八合目、唯一のハシゴ場を超えると 九合目、剣ヶ峰への分岐。
一面の花畑が広がる。北国の風も爽やか。
ヨツバシオガマ、ミヤマカラマツ、ナンブトウチクソウなどなど。
コバイケイソウは葉脈のみ、今年のコバイケイソウは花の年ではないかも。

P1010284.jpg P1010309.jpg
八合目のハシゴ場    ホソバツメクサ

P1010285_20100715111739.jpg 九合目から花畑と頂上をのぞむ

P1010286.jpg P1010290.jpg P1010291.jpg P1010305_20100715112229.jpg
ヨツバシオガマ       ナナカマド          コバイケイソウ       ミヤマカラマツ

 早池峰神社奥宮の建つ頂上(1917m)着、8時少し前。
河原ノ坊からコメガモリ沢を登ってきた先着者が二組ほど。
静かな山頂から、北西に岩手山、昨日登り損ねた秋田駒ケ岳や和賀山塊、西方遠くに
うっすらと鳥海山、南西に明日登る予定の焼石岳、そして東に太平洋がのぞまれた。

山好きは周囲の峰々を眺め同定できると、山名をつぶやき ああ~あの山はああだった、
こうだった・・・と過去を振り返るだけで満足してしまう 単純なのだ。

P1010292.jpg P1010294.jpg
山頂             一等三角点

P1010297.jpg P1010299_20100715113426.jpg P1010301.jpg
岩手山方面        太平洋            剣ヶ峰方面

 30分ほど微風に吹かれて眺望と、頂上に憩う方々との会話を楽しみ、
その後、剣ヶ峰分岐まで戻り早めの昼食。
久しぶりの雨上がりとて次々と登ってくる顔も皆 嬉しそうだ。
小田越帰着、11時。

 尾瀬・至仏山のホソバヒナウスユキソウや谷川岳のミネウスユキソウより
貴婦人のような感性をもつハヤチネウスユキソウは やはりこの早池峰を代表する花で
あった。
いつの日か ヨーロッパ産のエーデルワイスに最も近いといわれる道南の大平山で
みられるオオヒラウスユキソウや礼文島のレブンウスユキソウなど、北海道の
ウスユキソウにも遭いたいと想った。



 満足感に浸りながら、明日の焼石岳登山口に近い北上市山奥の夏油(げとう)温泉に向かう。
かって妻と湯を楽しんだ元湯夏油の風情は昔と変わらず、今も湯治場の雰囲気を
残していた。

秘湯を守る会会員の宿 元湯夏油の風情
P1010330.jpg

露天風呂
P1010313.jpg P1010319.jpg P1010327.jpg
大湯             疝気の湯          真湯

 内湯も含め7つの湯はすべてその場所から湧出しているため 泉質と温度が異なる。
源泉掛け流し。


 翌日、またも土砂降り。1日中集中豪雨との予報に焼石岳を諦め 帰宅の途につく。
走行距離 1400キロ。
予定した花の三山のうち早池峰山のみとなってしまったが、
またの機会の楽しみとする。晩秋の秋田駒も良いかも・・・。
                             (写真はクリックして拡大してください)

















テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

メコノプシス
P1010218.jpg                (写真はクリックして拡大してください)

 昨年大雪山方面を歩いたのと同季節に 妻を伴い五日間ほど北海道を訪れた。
今回は友人ご夫妻二組とのゴルフ旅行であったが、合間に「滝野すずらん丘陵」を訪れ
メコノプシス(ヒマラヤの蒼いケシの花)を楽しんだ。
蒼い群落は今年も美しかった。 (’10.6.29~7.3)