俄歩
「山に登ること」 は、与えられた条件の中で新しい経験を積むことに 他ならない。 だから、  自然と向き合える体力  自然を味わえる感性  自然に応えられる知力 を大切にしたい。
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
 学生時代に歩いた山、
歩きそびれた山々、
かって妻と歩いた山をひとり
静かにたのしんでいます。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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鬼怒沼湿原
 4年前の真冬に 単独ラッセルの力及ばず途中断念した鬼怒沼湿原(’09年2月記:奥鬼怒散策)を 
新緑を待って友人3人とともに訪れた。
 尾瀬ヶ原より高度が高く、日本一の標高を誇る雪解け直後のこの奥鬼怒湿原(標高2020m)は 
咲きはじめた湿原植物とともに陽光溢れ静かに風が渡る風情を味あわせてくれた。

P1040768.jpg P1040784.jpg P1040775.jpg (写真はクリックして拡大して下さい)
鬼怒沼入口        モウセンゴケ        燧ケ岳を望む                   

「山行クロニクル No.89」  鬼怒沼湿原  友人3人と
’13.6.16(日)浦和=東北道・日光有料道路今市IC=女夫淵温泉駐車場
           ~奥鬼怒自然遊歩道~日光澤温泉(泊)
    6.17(月)日光澤温泉~丸沼分岐~オロオソロシ展望台~鬼怒沼~湿原散策
           ~日光澤~加仁湯~八丁湯~女夫淵温泉駐車場=浦和

 今回パーティを組んでくださったのは Yu氏夫妻とFさん、
昨夏、遠征して秋田駒ケ岳を共に歩いた友人たちである(’12年7月記:秋田駒ケ岳)。

 今年2月の地震で登山口の女夫淵温泉のホテルはいまだに休業、
また自然遊歩道も数か所で崩壊、この6月初めに迂回路の設置が完了し、通行可能と
なったばかりであった。
宿泊した最奥の日光澤を含む奥鬼怒四湯は いずれも被害は少なかったようで幸いであった。

 日光澤温泉への遊歩道は 鬼怒川源流に流れ込む左右の沢で大きく崩れ、
岩と倒木に埋まり その都度 迂回路が設定されている。
可憐な白い小花、いずれも写真には撮らなかったがミツバオーレンやスダヤクシュが道を縁取り 
半夏生のようにマタタビの白い葉が頭上で陽に光っていた。

 樹林で キツツキのドラミングを楽しみ、今年初めて耳にした夏鳥 オオルリの美声に
皆、満足そうに顔を見合わせる。

遊歩道 点描

P1040797.jpg P1040737.jpg P1040736.jpg

日光澤温泉

P1040739.jpg P1040740.jpg P1040742.jpg P1040743.jpg
鐘をひとつ鳴らす     源泉(含硫黄・ナトリウム 塩化物泉)掛け流しの湯             

P1040746.jpg P1040753.jpg
宿の庭に咲く クリンソウ と オダマキ


 翌日、標高差700mを登り 鬼怒沼へ。
ヒナタ(日向)オソロシの滝展望台~丸沼への分岐の白い吊橋を分けて
オロ(日陰)オソロシの滝展望台で大休止。
ヒナタオソロシもオロオソロシも 昨年亡くなった食生態学者であり、日本の探検登山の
草分け的存在であった西丸震哉氏の命名。

P1040791.jpg P1040758.jpg P1040759.jpg
丸沼への吊橋      オロオソロシの滝     オトシブミ                     

 オトシブミの散乱する急登を 何度も息継ぎをしながら何とかこなし
ツガ、アスナロ、トウヒの森を進む。
雪解と湿原からの水が流れ落ちる登山道を まだかまだかと思う頃、やっと高層湿原の入口へ。

登山道 点描

P1040789.jpg P1040763.jpg P1040767.jpg P1040786.jpg
                                   ミヤマカタバミの白さが際立つ          

 規模は小さいが高度感のある湿原、鬼怒沼。
行く手左右に物見山と奥鬼怒山、尾瀬大清水へ向かう登山道近くになると
残雪の燧ケ岳と会津駒ケ岳が浮かぶ。
また 丸沼方面には 関東以北最高峰の日光白根山が大きく聳えている。
どの登山口からもなかなか見られない山頂部が立派。

P1040768_20130618183205.jpg P1040769.jpg P1040785.jpg
湿原入口          奥鬼怒山         池塘群                                          
                                      
P1040771.jpg P1040774.jpg P1040775_20130618183851.jpg P1040776.jpg
               会津駒ケ岳         燧ケ岳          日光白根山            

                                     
 晴天微風のもと ショウジョウバカマがまだ咲き残る湿原には
ちいさなヒメシャクナゲ、タテヤマリンドウ、チングルマ、イワカガミが花を開き
ワタスゲが白髪を伸ばし始め コバイケイソウが花芽を覗かせ、そして、
モウセンゴケが湿原一面に その小さな存在を顕わにしはじめていた。

 ワタスゲが真っ白になり リュウキンカやサワランが彩りを添えるこの先7月上旬は
さぞ美しいことだろう。
天空の湿原には 私達4人の他はわずかに二組3人のみ。
湿原散策と昼食で1時間半の休息。
静かで充実した光り輝くひとときを味わい、急登の疲れもすっかり癒された。
2000mを越えたのは 昨秋の西穂独標以来であった。

P1040770.jpg P1040777.jpg P1040780.jpg
コバイケイソウ      ワタスゲ        タテヤマリンドウ                              

P1040782.jpg P1040784_20130618185927.jpg
チングルマ         モウセンゴケ            (写真はクリックして拡大して下さい)


追記
 下山時、まず私が浮石で足を滑らせ尻もち、次いでYu氏のトレッキングシューズの底が剥がれ、
Yu氏夫人はこんなに歩いたのは初めて と足を摩り始める・・・。
独り Fさんは もう一山登らんばかりの健脚ぶりを披露してくれる。
P1040749.jpg 露天風呂にある洗顔・洗髪用(?)の小樽、
この中にも大輪の白い花を咲かせたようであった。(食事時の女性陣談話)
いくつになっても茶目っ気が抜けない楽しい方々。



                             

                   








                  


                        













                       

                




安達太良山
 例年より早いといっても必ず巡ってくる梅雨。
雨露が漂い しのつく雨となれば、かっては苔とサルオガセのなびく雲霧林を
逍遥しに「北八ヶ岳」へ向かったものだったが・・・。

 季節が定まるまでのなんとなく落ち着かないこのとき、
やわらかでモヤ~とした春から ギラギラとまじりけのない夏までの間は
山を選ぶのが難しいときかも。
しかし、四季のある日本は ひとつの山を四度も味わえる恵まれた国であると思う。

 遥かに過ぎ去った青春の譜を懐かしんで東北へ。
往時は福島といえども東京からは夜行列車での山行だった。
下山後、裏磐梯のユースホステルで 東京オリンピックの日ソバレーボール決勝の
中継に仲間たちと手に汗したことが想い出される。

P1040671.jpg P1040683.jpg P1040688.jpg   (写真はクリックして拡大して下さい)

安達太良山 「山行クロニクル No.88」      単独
’13.6.3(月) 浦和=東北道二本松IC=岳温泉=奥岳スキー場ー薬師岳
           ~安達太良山~牛ノ背~峰の辻~勢至平~奥岳スキー場=浦和

 この安達太良山、最近では6年前の冬に 今はもう廃業している奥岳温泉のホテルに前泊。
1m前後の積雪と10mを越える強風の中、前衛の薬師岳まで登ったものの
激しい吹雪に揉まれ、山頂への稜線で撤退したことがある。

 「新福島百山紀行(奥田 博著)」には「あだたら」の名の起源に
「鉄を意味するタタラ」、「安達の太郎」、「アイヌ語の私たちの山」の三説が
紹介されている。
それぞれ捨てがたい興味ある説であるが、いずれにしてもいにしえの万葉集にも歌われ
親しまれている峰。
現代では 戦後の国語教科書ゆえに高村光太郎の「智恵子抄」で知られているようだ。

P1040669.jpg 安達太良山 遠景(岳温泉への道から)

 ハルゼミの鳴き声がにぎやかな奥岳駐車場を後に 動きはじめたゴンドラを利用、
今日は何度も歩いたことのある薬師岳への登りをショートカット。
ゴヨウマツ、シャクナゲ、ナナカマドなどが頭上にかぶさる安達太良山頂へのゆるやかな
稜線を辿る。

登山道 点描
P1040673.jpg P1040676.jpg P1040677.jpg P1040675.jpg
新緑のナナカマド    わずかな残雪       急登にかかる     満開のミネザクラ          
                               
 最後に円錐状の山頂部に至る急登をこなすと狭い山頂。
蒼穹にわずかに雪を残す磐梯山と吾妻連峰、とりわけ遠くまだ白銀の飯豊連峰が美しく
さらに北へと旅情を誘う。

P1040683_20130604132051.jpg P1040688_20130604132135.jpg P1040696.jpg
円錐状の山頂部     山頂の祠と三角点(1699.6m)                      

P1040691.jpg P1040693.jpg P1040694.jpg
磐梯山           西大巓と西吾妻山     鉄山方面                                  

 コーヒーを沸かし 持参のサンドイッチで軽い食事。
山頂から望む磐梯山は、いつもの見なれた崩壊した形と異なり 立派に屹立していて
好もしい。いつか再び若き日の想い出を辿ろうと想う。

 平日とはいえこの晴天。
次から次と山頂へのクサリ場で嬌声を挙げる熟年ハイカー、
追い立てられるように牛ノ背へ。 皆、梅雨の晴れ間に感謝しているようだ。

 いまは有毒ガスのため立ち入れない沼ノ平を覗き、鉄分を含んだ赤茶けた稜線を
ミネズオウやイワカガミを愛でながら 峰の辻へ降り、山頂部を振り返る。
ここは静かだ。

P1040700.jpg P1040703.jpg P1040705.jpg P1040708.jpg
火口壁の上に磐梯山  火口底の沼ノ平     鉄山への道         峰の辻への降り                                
P1040715.jpg P1040711.jpg P1040712.jpg P1040714.jpg
ミネズオウ        イワカガミ       峰の辻から山頂部を振り返る               

 くろがね小屋への道を分け、篭山を巻き 色とりどりの緑が目に沁みる勢至平への道を
淡々と辿る。時折、ミツバツツジの鮮やかさに出遭う。

オオカメノキ と 勢至平の緑
P1040716.jpg P1040718.jpg P1040719.jpg P1040722.jpg

 カッコウの高く澄んだ声や藪の中で所在を訴えるウグイスの囀りが遠くなり
旧道の山野草を楽しみながら、再びハルゼミの姦しい奥岳駐車場に降り立った。
早朝は10数台しかなかった車が 100台以上に増えていた。

P1040733.jpg P1040725.jpg P1040727.jpg P1040730.jpg
あだたら渓谷と山野草                           (写真はクリックして拡大して下さい)