俄歩
「山に登ること」 は、与えられた条件の中で新しい経験を積むことに 他ならない。 だから、  自然と向き合える体力  自然を味わえる感性  自然に応えられる知力 を大切にしたい。
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
 学生時代に歩いた山、
歩きそびれた山々、
かって妻と歩いた山をひとり
静かにたのしんでいます。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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大弛峠
 山梨県山梨市と長野県川上村の県境、奥秩父の甲武信岳(2475m)から
金峰山(2595m)へと続く稜線上に この大弛峠(おおだるみとうげ)は位置する。
標高2365mの高度を有するこの峠まで車で入れる登山基地でもある。

 東へ 奥秩父最高峰の北奥千丈岳(2601m)までわずか1時間強、
西方の金峰山まで3時間弱で歩ける 登山者には便利な峠である。

P1060064.jpg 金峰山五丈岩を仰ぐ           (写真はクリックして拡大して下さい)

P1060065.jpg 大弛峠                     

 晩秋のカラマツの金糸の林を眺めたく 峠とその周辺を訪れた。
金峰山の五丈岩を仰ぎ、朝日岳への稜線から 八ヶ岳と眼下のカラマツ林を楽しむ。

P1060070.jpg P1060069.jpg 八ヶ岳

P1060072.jpg カラマツの波

P1060073.jpg P1060074.jpg P1060076.jpg 峠道の紅葉


 帰途、地元に出回り始めた吊るし柿用の渋柿で ひとつ約300gもある甲州百匁柿を求め、
我が家恒例の吊るし柿を作った。
上手に干し柿ができたら 柿の木のない北海道の友へ贈ろうと思う。

P1060078.jpg P1060082.jpg 甲州百匁柿












蔵王・熊野岳
P1060021.jpg P1060030.jpg    (写真はクリックして拡大して下さい)

 厳冬期の真っ白なモンスター、オオシラビソ(アオモリトドマツ)の樹氷群で
知られた地蔵山(1736m)から 火山礫に覆われた連峰の最高峰、熊野岳(1840m)を
歩いた。

 風は少し強いが 刷毛で掃いたようなすじ雲が高く浮かぶ好天、
いかにも晩秋の落ち着いた雰囲気に満ち、リンドウやヤマハハコの枯れ草と
ガンコウランやシラタマノキの実に縁取られた登山道は 艶やかな錦の
八甲田山とは対比の妙があった。

 しかし、驚いたことに あの樹氷の森で著名な地蔵岳西面のオオシラビソ林は
蛾の幼虫の大量発生により、常緑である筈の針葉が無残にも喰い荒らされ
まさに立ち枯れの様相を呈していた。
おそらくこの地域の今冬の樹氷は見られないであろう と思うと何とも残念で
ならなかった。
 下山後、宿泊した温泉宿の女将も 間近のスキーシーズンを控え、
すっかり肩を落としていた。

P1060040.jpg P1060041.jpg 蛾の幼虫に蝕まれたオオシラビソの林



「山行クロニクル No.100」  蔵王・熊野岳         単独
(’14.10.9(木) 歩く)

P1060039.jpg 熊野岳周辺図

 三宝荒神山の地蔵尊と樹氷の碑が建つ木道を 左手に名号峰を眺め、
地蔵山の急登を経て 熊野岳への道を辿る。

P1060003.jpg P1060006.jpg

P1060007.jpg P1060008.jpg 熊野岳への登山道

 風が渡る鞍部のワサ小屋跡の草藪と近年掘りだされた山姥の石像が
リンドウやヤマハハコの枯れ草と相まって一抹の寂しさを感じさせる。
平日とて 前後を歩く登山者も無く 日曜日の八甲田山とは目に映る彩りも
耳に立つ音も異にしていた。

P1060036.jpg ワサ小屋跡の山姥

P1060005.jpg P1060011.jpg ドライフラワー

 ガンコウランやシラタマノキの実が点在する登山道を
時折、背後の地蔵山を振り返りながら熊野岳の稜線へ。

P1060015.jpg P1060034.jpg ガンコウランとシラタマノキの実

P1060016.jpg 地蔵山を振り返る

 西風が強く渡り 熊野神社が鎮座する熊野岳(1840m)山頂。

P1060021_20141013081915e0e.jpg 山頂標識

P1060018.jpg 刈田岳方面を望む(奥に屏風岳)

 刈田岳へと続く馬の背で 中央火口のお釜を覗く。
秋の陽にお釜の水が輝き、いささかの強風が水面にさざ波を起こす。

P1060030_201410130823382a4.jpg P1060031.jpg 蔵王のお釜

下山道 点描

P1060035.jpg P1060038.jpg

P1060046.jpg P1060047.jpg P1060048.jpg

ダケカンバ、ブナ、ミズナラの黄褐色、わずかにカエデの赤が交じる。



旧温泉街と共同湯

P1060059.jpg    P1060062.jpg P1060060.jpg

P1060055.jpg P1060054.jpg 46度の源泉がすのこの直下にあり とにかく熱い
                             掛け流し
 


 さいたま浦和をたって一週間、走行往復1900Kmの行程で
ゆったりと湯治を楽しみ、趣の異なる二つの峰の今昔に想いを新たにし、
北東北で見残していた竜飛岬と十二湖に遊んだ旅であった。
                                  (写真はクリックして拡大して下さい)











 












八甲田山
P1050938.jpg 毛無岱           (写真はクリックして拡大して下さい)

 みちのくの秋を求めて 好きな北東北へ。
この季節になると旅情は北へ北へと誘う。
この地の個性豊かな「湯と祭りと峰」をめぐり 幾度となく訪れているのだが、
想い立つととまらない。
 今回はとりあえず青森・八甲田山の秋模様はどうだろうか と、
酸ケ湯温泉まで長駆、車を走らせた。

「山行クロニクル No.99」 八甲田山・毛無岱       単独
(’14.10.4~10.7 酸ケ湯温泉三連泊)

P1050917.jpg P1050958.jpg 酸ケ湯の紅葉 (奥に大岳)

 快晴に恵まれた日曜日、大勢の登山者で賑わう大岳(1584m)には向かわず、
田茂萢岳(1324m)から 紅葉目当てに毛無岱を歩いた。

P1050920.jpg P1050922.jpg P1050923.jpg 田茂萢岳への登山道
北八甲田の三山(左から 赤倉岳 井戸岳 大岳)

P1050927.jpg 薄雲の上に 岩木山を望む

P1050930.jpg P1050931.jpg 上毛無岱

P1050934.jpg 上毛無岱の草もみじ (奥に南八甲田の櫛ケ峯)

P1050938_20141012000823d7a.jpg P1050945.jpg P1050946.jpg 登山道の紅葉

P1050948.jpg P1050949.jpg P1050950.jpg 下毛無岱の紅葉

P1050955.jpg P1050956.jpg P1050957.jpg 酸ケ湯温泉への下山道


 今秋は 例年より一週間ほど紅葉が早く、錦秋の名所・下毛無岱から見上げる彩りも
盛りを過ぎていた。


酸ケ湯温泉の千人風呂

P1050961.jpg P1050965.jpg P1050963.jpg



 翌月曜日は 台風18号の影響で一日中土砂降り。
猿倉温泉から矢櫃岳の南八甲田を歩くのを取りやめ、
青森市で発掘された 縄文時代の「ムラ」を復元した三内丸山遺跡を見学、
約5000年前の太古のロマンを味わった。
その後は湯治客として温泉三昧。

P1050969.jpg 大型掘立柱建築物(すべて復元)

P1050971.jpg P1050972.jpg P1050973.jpg



竜飛埼~十三湖~鯵が沢温泉~十二湖
                 (’14.10.7~10.8)

 台風一過、津軽半島の先端・青函トンネル起点の竜飛埼へ向かう道すがら
実りの収穫後の田を横目に 鄙びた農漁村を走り抜けるたびに、
もう50年もの昔に訪れたときのことが想い起された。

 当時、わら焼きの煙が霧のように漂うなか 市役所の広報車が
冬の出稼ぎであるサケ・マス船団に乗りこむ男たちに
「同じ集落の仲間同志や親族まとまって同じ船に乗らないように」と必死に
呼びかけていた。
 厳冬の北の荒海でサケ・マス船団の一隻が沈むたびに 集落の男手が無くなったり、
一家中の男手がすべて無くなってしまう・・・そんな集落が多く見られた時代だった。

津軽半島 竜飛埼

P1050977.jpg 竜飛埼灯台

P1050978.jpg 津軽海峡(対岸は北海道松前半島)

P1050983.jpg 車の走れない「階段」国道(339号線)

P1050981.jpg 竜飛埼漁港

 その後、白鳥飛来地でシジミで知られた十三湖をめぐり、シジミ料理を楽しみ、
夜は かっての津軽四大漁港のひとつで ニシン漁の根拠地として栄えた
鯵が沢温泉に宿泊。
 翌日は千畳敷海岸、不老不死温泉を経て、青池で名高い十二湖を散策した。

十二湖 (青池)

P1050989.jpg 十二湖散策図

P1050999.jpg P1050993.jpg P1050997.jpg 青池

 日本海の海岸にほど近いところに小さな湖が点在する氷河地形の遺跡、十二湖。
秀眉はやはり青池、青インクを流しこんだように深く沈んだ色調は一見に値する。


P1060001.jpg ブナの自然林

 白神山地へと続く まだ緑葉のままのブナの自然林は静かであった。
北海道の友からの便りには 知床も含め木の実は豊かだというが
本州ではどこでも今年はブナの実が不作と聞く。
 野ネズミやクマは腹をすかしていることだろう。
昔、小さな殻の中にソバの実に似た茶色の粒が3~4粒入っているこのブナの実を
囲炉裏で軽く炒ったものを 杣人にごちそうになったことがある。
脂肪分のあるナッツのような味だった。

 散策の後は 山形の蔵王温泉へと向かった。
                               (写真はクリックして拡大して下さい)