俄歩
「山に登ること」 は、与えられた条件の中で新しい経験を積むことに 他ならない。 だから、  自然と向き合える体力  自然を味わえる感性  自然に応えられる知力 を大切にしたい。
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
 学生時代に歩いた山、
歩きそびれた山々、
かって妻と歩いた山をひとり
静かにたのしんでいます。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



岳 と 花 Ⅲ
P1020704.jpg                          (写真はクリックして拡大してください)


 峻嶮な岩峰に登高意欲を燃やした若き日々と異なり、広く峰々をさまよい歩く 
いわば静観的な漂泊に自己充足を見出す、そんな山歩きが定着して何年もたった。
それでも山への想いは変わらない。
「標高よりも荒寥を愛す」と言ったのは誰だったか・・・。

 今年もあちこちと気の趣くまま、折々の旅情に背を押されて、年間50日ほど
好きな峰々を歩き廻ることができた。
寡黙に送り出してくれる妻の寛容と支援に感謝している。

 この先 積雪期は、また低山を徘徊することになるだろう。
単独行ゆえ残雪期でも 急峻な懸崖は先行者のトレースを当てにするようなていたらくで、
もはや人様に語れるものではないが。
 それでも いまだ 白く輝く絶巓や稜線への焦燥止み難い季節がやってくる。
雪山を歩いてこそ、やがてポコポコと流れる雪解の音が心に響くからだろう。

                                        20091109202838[1] 20091122205707[1]

 この雑文「俄歩」を 身近の小さき者への自然からのメッセージとして残したく綴っているが、
そろそろ実地に まずは高原でも連れて歩こうかな と考えている。
春の妖精たちが咲きはじめる頃がよさそう。
 カタクリの城山か 高尾山・陣馬高原あたりか、それとも新潟の角田山まで遠征するか。
ひと冬、あれこれ考えるのが楽しい。


黒部源流 ('08.7.22-27)
P1010085.jpg P1010140.jpg P1010152.jpg P1010170.jpg
P1010111.jpg P1010133.jpg P1010081.jpg P1010112.jpg
燕岳~大天井岳~常念岳~蝶ヶ岳 ('07.9.30-10.4)
DSCF1540.jpg DSCF1544.jpg DSCF1550.jpg DSCF1541.jpg



谷川連嶺 ('08.8.12-13)
P1010191.jpg P1010204.jpg P1010220_20091222232444.jpg P1010203.jpg
苗場山 ('08.7.9-11)
P1010010.jpg P1010018.jpg P1010014.jpg P1010007.jpg
美瑛の森 ('08.12.14-17)
2008_1218旭山&美瑛0058 2008_1218旭山&美瑛0059 2008_1218旭山&美瑛0064 2008_1218旭山&美瑛0070



瑞牆山 ('08.10.30-31)
2008_1031瑞がき山0006 2008_1031瑞がき山0007 2008_1031瑞がき山0010 2008_1031瑞がき山0029
白毛門 ('09.3.28-30)
2009_0330白毛門0057 2009_0330白毛門0022 2009_0330白毛門0050 2009_0330白毛門0015
アポイ岳 ('09.6.24)
P1020372.jpg P1020333.jpg P1020345.jpg P1020386.jpg


(写真はクリックして拡大してください)                                                         
































                             

テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

黒川鶏冠山
 北に奥秩父の唐松尾山や笠取山、南に甲州の大菩薩嶺、この両山塊に挟まれて 古の戦国時代 
武田家の戦費を賄った甲州金山で有名な黒川山(1710m)と鶏冠山(1716m)がある。

東京の奥多摩町から山梨の塩山(甲州市)へ抜ける青梅街道(大菩薩ライン)の最高点、柳沢峠から
静かな雪道を歩いた。
帰途、黒川金山にまつわる悲話の「おいらん淵」に立ち寄ってみた。

P1000458.jpg P1000463.jpg
黒川山           鶏冠山                (写真はクリックして拡大してください)

「山行クロニクル No.49」  黒川山 鶏冠山      単独
’09.12.15(火) 浦和=首都高速・中央道勝沼IC=大菩薩ライン柳沢峠~六本木峠~横手山峠
             ~黒川山~鶏冠山~柳沢峠=青梅街道=圏央道・関越道=浦和

 西高東低の気圧配置 寒気の強まる中、いつもより少し厚着をして早朝出発。
中央道経由で柳沢峠の市営駐車場 8時30分着。曇天。既に標高1400mを超える峠の気温は
氷点下3度。
登山者の車は他に1台もなし。 今日も静かな一日になりそう。

P1000432.jpg 柳沢峠駐車場

「ブナのみち」と名付けられた混交林の間を縫う散歩道のような雪道を坦々と歩く。
下部は雪を被った一面の笹原。

P1000433.jpg P1000435.jpg P1000441.jpg
平坦な雪道の登山道                   熊の生息地が記入されている

 大菩薩嶺に至る丸川峠への尾根道を分ける六本木峠までアップダウンの少ない雪道は、
10~20cm程度の積雪だが、何人もの踏み跡で圧縮されガチガチに凍ってつるつる。
トレースを避け つぼ足で歩く。

 両側の混交林の樹種は豊富で ミズナラ ブナ マユミ イタヤカエデ リョウブ ダケカンバ モミ等の
他にハリギリとかミズメなど幹に付けられた名札ではじめて知るような木々もみられた。
既に落葉した闊葉樹は 樹皮と枝ぶりだけでは判別するのが難しい。

                 はじめて知見を得た木々P1000438.jpg P1000437.jpg

 六本木峠で大菩薩嶺への道を分け 次の横手山峠へと向かう。

P1000442.jpg P1000447.jpg
六本木峠          横手山峠

 横手山峠から その昔、黒川千軒と呼ばれるほど金鉱掘りで賑わった鉱山跡への捲き道は 
崩落のため、通行禁止になっていた。
この峠から黒川山へはカラマツとモミの植林帯、熊の爪痕が生々しい。

P1000448.jpg

 熊鈴の音が聞こえ、下山してくる三人の林業関係者とすれ違う。
話を聞くと「間伐している時は問題ないが、登山道の往復時はチームのうち一人は鈴を付ける決まりだ」
という。

 11時、凡庸な黒川山、山頂着。
三角点のある小広場は木立に囲まれ視界が無く 見晴らし台まで足を伸ばす。
小さな岩塊の見晴らし台から周囲を眺めるも 低く雪雲が垂れ込め眺望はない。

P1000449.jpg P1000457.jpg P1000451.jpg
山頂標識          見晴らし台         雪雲が垂れ込める

 この鞍部にある山頂標識、鶏冠山(黒川山)と記され、奥宮のある本来の鶏冠山山頂へは 
ただ鶏冠神社としか表示されておらず、わかりにくく甚だ納得がいかない。
昼食を済ませ、指呼の間の鶏冠山を目指す。雲が切れ 嬉しいことに陽がさしてきた。

P1000477.jpg 間近で仰ぐ鶏冠山

 鶏冠山山頂へは登り20分ほどであるが かなりの急登。
北側へ廻り込みながら木の根と岩を掴み攀じ上がる。雪は少ないがアイスバーンにひどく苦労した。

 鶏冠山は岩峰、山の景観も雰囲気も黒川山よりはるかに好もしい。
山としての格調が感じられ、満足。

P1000474.jpg P1000468.jpg 鶏冠山 山頂

P1000471.jpg P1000469.jpg 奥秩父や奥多摩方面の眺望

 山頂の岩場でひとときを寛ぐ。
微風 静寂 日溜まり、そして展望とコーヒー。

 12時過ぎ下山にかかり、帰途の六本木峠付近からはようやく大菩薩嶺がその全容を顕す。
こちら北側から見ると結構な三角錐で、見慣れた南側から眺めたときの全体が尾根のような
あの茫洋さは無く、ちょっと見直した。
 
P1000481.jpg 北側から眺めた大菩薩嶺
                (山行クロニクルNo.27 大菩薩嶺 を覗いてみてください)

 尾根道の樹種の豊かさとちょっとした岩峰の鶏冠山、春秋には訪なう人の多い山であろう。
2時半、柳沢峠を後に青梅街道を丹波山村に向かい、途中の黒川金山にまつわるおいらん淵に
立ち寄った。

 武田家滅亡ののち 黒川金鉱の秘密を守るため、閉山時にこの多摩川の上流 柳沢川の崖に
高桟敷を設けて酒宴を開き、酒席に侍らせたおいらん(遊女:花魁)共々 川に落とし、
口封じをしたと伝えられ、おいらん淵の名がいまも残されている。

P1000485.jpg P1000487.jpg P1000484.jpg
おいらん淵                         説明文           
                                  (写真はクリックして拡大してください)



テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

高原山 (鶏頂山)
 この栃木県、塩原温泉郷近くの高原山は 那須連山と日光連山の間に位置する小山塊で、
主峰 釈迦ヶ岳(1795m)をはじめとする鶏頂山、西平岳、剣ヶ峰などを含む山塊の総称である。

P1000398.jpg
鬼怒川温泉付近から 鶏頂山(左)と釈迦ヶ岳(右)           (写真はクリックして拡大してください)

 この小山塊のうち 霊山として地元の信仰の篤い、宗教色の強い鶏頂山を目指した。
時間があれば釈迦ヶ岳へも回峰するつもりで 浦和を7時前出発。
昨日の雨もあがり、晴天。

「山行クロニクル No.48」 高原山 (鶏頂山)     単独
’09.12.1(火) 浦和=東北道・日光宇都宮道路 今市IC=会津西街道=日塩もみじライン
            =鶏頂山登拝口~枯木沼湿原~弁天沼~釈迦ヶ岳・鶏頂山分岐~鶏頂山 山頂
            ~弁天沼~枯木沼~登拝口=浦和

 しばらく家族旅行や友人達との旅行が続いていたので3週間振りの山行である。
日光今市から会津西街道に入り 鬼怒川温泉を経て塩原温泉へ抜ける山岳道路・日塩もみじラインへ。
地元 藤原郷の信徒によって建立された大きな一の鳥居のある鶏頂山登拝口に車を止める。
既に標高は1200m、9時半。

P1000428.jpg 鶏頂山登拝口 一の鳥居

 大鳥居をくぐり舗装道をしばらく辿ると、廃屋のある無人の大駐車場。そこからスキー場の林間コースの
ようなカラマツの植林帯の中 霜枯れた斜面を登り始める。
 この鶏頂山、約1700年前に開山された霊山で、別名を金鶏山と言い、その昔、金の鶏に導かれ開山に
至ったと記されている。

P1000423.jpg カラマツ林

 ヒノキが混じるカラマツ林を抜け 小さな木の鳥居をくぐると、小さく拓けた枯木沼湿原に出る。
所どころ腐って踏み抜かれた木道を霜を踏んで歩く。
冬枯れの湿原に貴婦人のようなダケカンバの白木が朝陽に光る。

P1000400.jpg P1000425.jpg P1000426.jpg
枯木沼湿原

 再び カラマツの落ち葉が何層にも積み重なったふかふかの道を辿り、また木の鳥居をくぐり抜けると
弁天沼。
凍てついた沼のほとりには 祠や石碑、釣鐘などなど・・・。いかにも信仰の山の風情だ。

P1000402.jpg P1000403.jpg
弁天沼

 釈迦ヶ岳へ直登する道を分けて、ここから鶏頂山の神域とされる鳥居をくぐると自然林の登山道となった。
すでに落葉したミズナラ、ヤシオツツジ、ダケカンバ、カエデなど、その下部には笹が一杯。
深呼吸を繰り返し 初冬の息吹を身に纏う。

 東京では雨だった昨日、ここでは雪だったようで 薄く積もった雪道には先行者の踏み跡もなく、
今日、この道に最初の踏み跡を残す。
尾根に出て、釈迦ヶ岳と鶏頂山の分岐 深く切れ落ちた爆裂火口の縁で一服。

P1000410.jpg 薄雪の登山道

P1000407.jpg P1000409.jpg
立ちはだかる釈迦ヶ岳  冠雪の南会津の峰々

 最後の急登をこなすと またまた鳥居をくぐり、猿田彦を祭神とする立派な奥宮が鎮座する山頂
(1765m)に着く。11時40分。
眼前に高原山の主稜で一等三角点を持つ釈迦ヶ岳、北東に那須連山、北側には冠雪の南会津の峰々が
望まれた。南西の日光連山は雪雲の中。

P1000413.jpg P1000415.jpg
鶏頂山 山頂        奥宮

P1000411.jpg P1000414.jpg P1000421.jpg
釈迦ヶ岳          冠雪の南会津の峰々   遠くに那須連山 

 昼食を摂っていると 30代とおもわれる男性が登ってきた。地元 那須大田原の方で、最近登山を
始めたとか。
しばし歓談の後、はや雪雲が西から湧いてきたので12時過ぎ 下山にかかる。
隣峰 釈迦ヶ岳は既に雲に覆われていたので諦め、そのまま往路を下山。2時には一の鳥居へ戻った。

P1000424.jpg 雪雲が近づく

 麓の塩原温泉の新湯や元湯へは よく家族とともに訪れたが、いままでこの地域の山に
登ったことはなかった。
宗教色の強い鶏頂山から一等三角点の釈迦ヶ岳、そして剣ヶ峰を経て塩原自然研究路に至る回峰は
木の芽どきや秋の紅葉時には 誰しもが満足する山塊だと思われた。
静謐に満ちた山行だった。


P1000431.jpg 日塩もみじラインの白滝             (写真はクリックして拡大してください)






  


  









テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ