俄歩
「山に登ること」 は、与えられた条件の中で新しい経験を積むことに 他ならない。 だから、  自然と向き合える体力  自然を味わえる感性  自然に応えられる知力 を大切にしたい。
プロフィール

俄歩人 (がふと)

Author:俄歩人 (がふと)
 学生時代に歩いた山、
歩きそびれた山々、
かって妻と歩いた山をひとり
静かにたのしんでいます。
年に一度、写真集「岳と花」を
記載。
(さいたま市 浦和 在住)



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丹沢山
 いつか御礼に再び訪れたい・・・と思いながら1年以上経過してしまい、反省を込めて丹沢山塊を
歩いた。
昨年 3月、時ならぬ春の大雪に 腰まで埋まる単独ラッセルを強いられ、疲労困憊で辿り着いた山荘
で暖かいもてなしを受けた。真っ白く変色した指と冷えた身体を温める為 大型ストーブをガンガン焚き
熱い焼酎でもてなして頂いた。
その塔ノ岳尊仏山荘 二代目オーナー、薩摩隼人のH氏に遇うためである。
薩摩の芋焼酎一升壜をザックに詰め まずは塔ノ岳へ向かった。
                                         (写真はクリックして拡大してください)

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札掛 タライゴヤ沢    塔ノ岳 尊仏山荘     丹沢山方面

「山行クロニクル No.34」  塔ノ岳・丹沢山             単独
’09.4.27(月)浦和~東名秦野中井IC~ヤビツ峠~札掛 丹沢ホーム(泊)
    4.28(火)札掛~長尾尾根~新大日~塔ノ岳~竜ヶ馬場~丹沢山 みやま山荘(泊)
    4.29(水)丹沢山~天王寺尾根~本谷川~東丹沢県民の森~札掛~浦和

 天気予報と異なり 札掛は小雨。渓流釣り場から養魚場を越え2時間ほど沢を遡上、散策する。
ウグイスの声とともにタライゴヤ沢沿いの木々は新芽が美しく、土手にはテンナンショウやスミレが
咲いていた。名物のシロヤシオにはまだ一ヶ月早そうだ。

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テンナンショウ(マムシ草)

 宿で、今年も引き続き「丹沢自然保護協会」の理事長を務めているN氏から、最近の「森の学校」の
イベントや東丹沢の自然保護活動の話を聞く。

4.28(火) 曇天。7時30分、長尾尾根に取り付く。
スギやヒノキの植林帯を抜け 樹相の美しいブナ林に入る。まだ芽吹きはささやかだ。
この尾根は行き交う登山者が全くなく静か。
ツツドリのポッポッ ポンポン、シジュウカラのツツピー ツピツピ、とりわけ明るく声の大きい おちゃっぴいな
ミソサザイの囀りが耳に届く。春だな と感じる。

 ちらほら霙が風に舞う。昨年のこの尾根のラッセルの苦闘が蘇るが、新大日では晴れ間が覗き
峰ザクラが満開。春霞の相模湾や真鶴半島を眺めて昼食大休止。
ここからはヤビツ峠から表尾根を歩いてくる登山者と合流する。

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ブナ林            峰ザクラ                          春霞の真鶴半島

 新大日から木ノ叉大日そして塔ノ岳まで標準時間で40分、昨年の雪を掻き分け 土手を攀じり
2時間かかったことが嘘のよう。鹿と遊びながら塔ノ岳山頂着、11時半。
しかし、鹿は 先々週の両神山で出遭ったニホンカモシカに比べ、野性味と品格に欠ける。

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塔ノ岳 山頂        丹沢山方面

 山荘を訪ね、昼食で一杯の登山者のお世話をしていたH氏に御礼の品を届ける。
氏もあの大雪の日のことはよく覚えていてくれた。
30人ほどの登山者で賑わう広場でコーヒーを沸かし、遠くに浮かぶ北岳や甲斐駒の白い嶺々を
眺めながら1時間ほどくつろぐ。眼下の新緑が爽やか。

 小屋脇を抜けて 丹沢山を目指す。ここから先は初めての道で心が弾む。
日高を越え 薄日に竜ヶ馬場への笹原の趣が素晴らしい。

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竜ヶ馬場への笹原    塔ノ岳を振り返る     新緑が映えるキュウハ沢方面

 静かな佇まいの山頂、丹沢山(1567m)2時着。
バイケイソウの芽吹きと峰ザクラの1~2分咲き、蛭ガ岳を前に静けさに溶け込む。
みやま山荘オーナーI氏に挨拶、ザックを降ろした。三々五々小屋泊まりの登山者が集う。
同年輩の方、小学生を連れた若いお父さん、百名山登頂を目指すと張り切っている学生さん、
皆と談話室で酒を飲みながら歓談する。
 月と星、相模原方面の街の灯を眺めて就寝。

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丹沢山一等三角点    バイケイソウの芽吹き  蛭ガ岳            下弦の月

4.29(水) 晴天
2009_0429丹沢山0056  車を置いた札掛まで入山者の少ない天王寺尾根を一気に降る。
この尾根はアセビとブナが美しい尾根、キュウハ沢側の新緑も爽やかだ。アカヤシオがちらほら。

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アセビとブナの尾根道  アカヤシオ

 天王寺峠から本谷川へ降り 吊橋を渡って東丹沢県民の森を抜け、朽ち落ちた桟道の脇をへずって
再び札掛へ。
H氏の笑顔に接し心が落ち着くとともに 雪の無い長尾尾根を楽しみ、竜ヶ馬場の美しい笹原が印象に
残る山行だった。
                                                2009_0429丹沢山0020

(写真はクリックして拡大してください)
(大雪の丹沢は「山行クロニクルNo.19」を覗いてみてください)

PS:
 丹沢とか奥多摩の山々は 心の隅にいまひとつの掻痒感を覚えてしまう。
自然林に達するまでの単調さか、森林限界を超えることのない変化の乏しさか・・・
或いはチリンチリン、カランカランと音を出す人の多さ故だろうか。
やはり山相が似すぎていることに尽きるのだろうか。 この近郊の山々は その特徴にあった季節を
選ぶことの大切さを教えてくれているのかも知れない。 きっとそうだろうと想う。
担荷力の衰えたいまの私にとっては、これから先 身近な峰々なのだから。

 


















テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

両神山
 桜、桃、杏の白 ピンク 緋、 マンサク、キブシ、エニシダ、ヤマブキの黄、 雪柳、椿、木瓜の白と紅、
そして路上には 水仙、桜草、芝桜、チューリップなどなど・・・。
北秩父、吉田や小鹿野地区の山里は この季節、まさに花に埋づもれていた。
この地域の子供の「花まつり」に見られる花吹雪の道を歩いているようだった。

 両神山を代表するひとつ花、アカヤシオの気の早いのがちらほら咲き始めている登山口、日向大谷の
山荘に前泊、 両神神社・里宮に詣でたりしてのんびりとしたひとときを過ごした。

                                          (写真はクリックして拡大して下さい)                                            
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                                両神神社・里宮

「山行クロニクル No.33」 両神山
 翌朝(4.11土) 6時30分、前夜 同宿、歓談した同世代の単独行男性とまだ現役の男性二人組みと
山荘の犬(ポチ)を伴い登り始めた。ここ2~3日と同様 今日も夏日が予想され、気温だけはまるで夏山の
様相である。
 男性4人、お互い初対面であったが、明け方に登山口まで走り来て登るというのではなく
前泊し、ゆったり山を楽しみたい という互いの雰囲気が伝わる方々だった。

 七滝沢への道を分ける会所を過ぎ、ポチを帰し 薄川を2~3回徒渉、小鳥の囀りに包まれ 沢沿いの
急登にかかる。アズマイチゲがまだ花弁を巻いている。
弘法の井戸の清水は汲むのに大変なほど細く僅かずつ滴っていた。近年は素泊まり対応しかしていない
無人の清滝小屋で大休止。夏日の日差しの中 何人かの健脚者が先行していく。

 クサリ場のある産泰尾根に取り付き 所々アイスバーンの残る尾根を攀じり 奥宮に詣でる。

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両神山近景

 奥宮からの尾根通しの夏道はトラロープが張られ、崖を巻く冬道の凍ったところを歩かされた。
山頂着 11時過ぎ、標高差1100mを4時間半ののんびり登行である。
三角点のある剣ヶ峰(1723m)は360度の視界。春霞のベールに包まれてはいたが、冠雪の八ヶ岳
や遠く北アルプスの稜線、南の富士山も美しく浮かんでいた。

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剣ヶ峰 山頂        春霞の八ヶ岳

 歩行距離の短い八丁峠からの入山者が多く、狭い山頂はすぐ人で埋まる。交互に写真を撮り
少し降った白井差への分岐にあるテーブルで昼食、歓談。
この季節外れの暑さには閉口したが 眺望に恵まれたことに感謝し、下山にかかる。

 尾根の北側はシャクナゲの花芽もまだ固く小さく、ミズナラやダケカンバの新芽も膨らんでいない。
ハシリドコロ、イチリンソウ、ネコノメソウの他、朝は閉じていたアズマイチゲは精一杯 花弁を広げ
灰褐色の沢筋の崖に存在を誇示していた。

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キバナノネコノメ      アズマイチゲ

 薄川の沢沿いの崖の中腹で 久し振りにニホンカモシカに出会う。
黒い小さな前角と首周りの白い襟巻き、しなやかな黒毛を纏い、堂々と睥睨していた。

 3時過ぎ 下山、山荘のオーナーご夫妻に挨拶、 また ご一緒していただいた方々とも いつの日かの
山での再会を楽しみに別れ、花の里を後にした。
                                       (写真はクリックして拡大してください)

                                     








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